今こそ知りたい!AIの歴史とこれから【動画あり】

2024-02-04

AI 動画解説あり

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AIの話題が絶えない昨今ですが,「AIの歴史」についてどれくらい知っていますか?

(本記事のほか、動画でも紹介していますので、ぜひご覧ください!) 

(画像左側の立ち絵: 坂本アヒル様)

 

コンピュータの誕生

 第二次世界大戦中ごろから、機械で暗号解読や弾道計算を行う試みがなされるようになりました。アラン・チューリング氏によるエニグマ解読が有名ですね。(興味がある方は映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』をチェックしてみてください。)

 アラン・チューリング氏は、あらゆる計算ができる理想的な機械「チューリングマシン」を構想しました。これはあくまで「構想」だったのですが、ジョン・フォン・ノイマン氏がチューリングマシンを実用化し、「ノイマン型コンピュータ」を考案しました。ノイマン型コンピュータはプログラムに従って命令を実行する仕組みで、現代のコンピュータはほとんどノイマン型です。

 1946年の「ENIAC」や1951年の「EDVAC」をはじめ、コンピュータの開発が盛んに行われるようになりました。ただし、これらは部屋一つ分くらいの巨大サイズで、現代の手のひらサイズのスマートフォンと比較しても、数億分の一以下の計算力しかありませんでした。それでも人間の手計算よりはるかに速い計算スピードのため、使い道が議論されるようになりました。

 ちなみに、アラン・チューリング氏は、当時から「機械が知能を持つことはあり得るか」についての思考実験をしており、「チューリング・テスト」と呼ばれる方法で機械の知能を測ることを1950年に提唱しました。チューリングテストでは、人間の判定者がコンピュータと人間の両方とテキストベースで会話します。判定者は、相手がコンピュータか人間かを当てることができれば、コンピュータは人間と見分けられたと言えます。逆に、判定者が相手がコンピュータか人間かを当てることができなければ、コンピュータは人間に似せることに成功したと言えます。

AIという言葉の誕生

 1956年にダートマス会議というものが開かれました。これは、コンピュータの使い道に関する議論会でした。この会議で初めて「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉が使われました。人工知能とは、「思考する機械」を作ることを目指す学問分野です。この会議では、人工知能の可能性や課題について話し合われました。

第一次AIブーム

 ダートマス会議から10年ほど後、人工知能の研究が盛んになりました。これが第一次AIブームです。この時期には、迷路のような単純な探索問題や、ELIZAのような簡単な対話システムが作られました。ELIZAは、人間と会話をするかのように見せかけるプログラムです。しかし、実際には決まったパターンに沿って返答しているだけでした。例えば、「私は寂しい」と言うと、「あなたは寂しいと感じている」と返すような感じです。このようなプログラムは、人間の言葉を理解しているわけではありませんでした。

 単純な探索問題にしろ、ELIZAにしろ、現実の問題への適用には程遠いものでした。おもちゃの問題(=トイプロブレム)程度にしか役に立たないと揶揄されてしまい、第一次AIブームは冬を迎えることとなります。

第二次AIブーム

 1970年代から1980年代にかけて、第二次AIブームが起こりました。この時期には、コンピュータの記憶域が増えたので、知識を詰め込む試みがなされるようになりました。専門家の判断を模倣する「エキスパートシステム」の開発が進められました。問診から感染症の診断を行う「MYCIN」が有名な例です。

 しかしながら、知識を矛盾なく記述することが難しい点、知識をインプットするのに大きな労力がかかる点など、知識ベースのシステムを開発をする上での難しさが明らかになり、第二次AIブームも冬を迎えることとなります。

第三次AIブーム

 2000年代には、第三次AIブームが起こりました。この時期には、コンピュータの性能が上がり、脳を模して作ったニューラルネットワークを深く設計したディープラーニング(深層学習)が成果を上げられるようになりました。ディープラーニングにより、手がかりと答えの間に存在する法則性を自動で見つけられるようになり、しかも、人間が気づかない特徴までをも認識できるようになりました。例えば、猫の写真と「猫」というラベルを与えると、コンピュータは猫の特徴を学習します。たくさんの写真から学習することで、新しい写真にも猫が写っているかどうかを判断できるようになります。

(ディープラーニングって何?よくわからん!という方は下の動画をご覧ください)


 ディープラーニングは汎用性が高く、様々なことに応用できるようになりました。画像認識や音声認識が代表的な例ですが、「囲碁でコンピュータが人類を超えた」「自動運転タクシーが実用化された」といったニュースの裏には必ずディープラーニングが潜んでいるといっても過言ではありません。

 2000年代といえばインターネットが普及した時期でもありますが、これにより、学習対象となるデータの収集が効率的に行えるようになりました。インターネットもまた、第三次AIブームの要因の一つといえるでしょう。

生成AIの登場(第四次AIブーム?)

 2010年代から2020年代にかけて、ディープラーニングの使い道の開拓が進み、コンテンツの生成にも応用されるようになりました。生成AIは、与えられた情報から新しい情報を作り出す技術の総称です。

 例えば、Transformerという技術は、自然言語処理という分野で革命を起こしました。自然言語処理とは、人間の言葉をコンピュータで扱うことを指します。Transformerは、文章の意味や文脈を細切れにし、確率的に言葉を選択していくことで文章の生成を可能にした技術です。大規模言語モデル(LLM)は、翻訳や文章生成、プログラミングなどの幅広いタスクに利用することができ、注目を集めました。ChatGPT登場時の反響は記憶に新しいですね。

 また、Diffusion(拡散)モデルという技術は、画像生成分野で注目されています。Diffusionモデルは、ノイズからリアルな画像を生成する技術です。自然言語処理技術と組み合わせることで、与えられたテキストから新しい画像を作ることもできます。MidJourneyやStableDiffusionといったサービスが公開され、一般の方も簡単に画像生成が行えるようになりました。

 ただし、生成AIの多くは学習段階で著作物を無断で用いており、その是非について国内外で議論が交わされています。OpenAI社とニューヨーク・タイムズ社が争う裁判は特に注目されています。

どうなるAI?

 AIの発展は、コンピュータの性能の向上に支えられてきました。コンピュータの性能に関して、「ムーアの法則」と呼ばれる有名な仮説があります。これは、コンピューターの性能が約2年ごとに倍になるという予測です。1965年にインテルの共同創業者であるゴードン・ムーア氏が発表した論文で提唱されたもので、その後のコンピュータの性能は概ね予測通りに向上していきました。『ドラえもん』のバイバインのように、指数関数的に性能が上がっているのは本当に驚きですよね。ちなみに、現代ではハードウェアの性能向上は緩やかになってきてはいますが、「ムーアの法則が限界を迎えた」「迎えていない」といった議論が絶えない程度には現役であり、まだまだ進歩は続きそうです。

 さて、「AIが人類を超えるかもしれない」という予測があるのはご存知でしょうか? 実業家のレイ・カーツワイル氏は、AIが自らよりも賢いAIを開発できるようになる「シンギュラリティ(技術的特異点)」に到達するのが2045年であると予測しています。こうなったら、科学の進歩は人知を超えて進んでいってしまうようです。どこかSFっぽく、非現実的に思えてしまいます。実際にシンギュラリティが起こるかどうかはさておき、今から20年前にガラケーを使っていた我々が2024年の現代技術を予測できていなかったように、約20年後の2045年にも我々の想像の範疇を超える技術が現れていることでしょう。わくわくどきどき。

 科学は、先人の偉業の上にさらなる発見や工夫を積み重ねていくことで発展してきました。物理学の礎を築いたアイザック・ニュートンは、これを「巨人の肩の上に立つ」と表現しました。さて、この巨人はとてつもない大きさへと成長したわけですが、これからどこへ向かうのでしょう。

 

 ...というわけで、本記事はここまで。正解は20年後。これからも科学技術の発展に注目していきましょう。

(最終更新: 2024/02/12)

 

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10分でわかるAIの歴史 #人工知能 #AI 




 

 



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