AIはデータを「学習」することで、賢くなっていくわけですが、これは人間と同じですよね。
さて、具体的に、どのような点がAIと人間の「学習」の共通点なのでしょうか?
目標設定が最重要
AIの学習を行う際、その目標を明確にすることが必ず行われています。例えば、手書き数字認識AIを作りたいなら、認識の誤差を少なくするようにという「目標」を定めているわけです。面白い例を出すと、オセロのAIなんかはプログラムを一行変えて目標を「勝つ」から「負ける」に変えるだけで、「わざと負ける」仕様に変えることができたりします。「強いオセロAI」も「弱いオセロAI」も作り方は同じで、違いは「目標設定」だけというわけです。
人間の皆様も、何かを学習するときには、何を目指しているのかを明確にしてみましょう。
教師が大事
教師あり学習とは、AIに正解ラベル付きのデータを与えて学習させる方法です。例えば、猫や犬の画像にそれぞれ「猫」「犬」というラベルを付けて、AIに教えます。当然ながら、そのラベルが間違っていたら、間違ったことを学習してしまいます。「何を学ぶか」というデータの質も重要なわけですね。
人間の場合も、「何を勉強するか 」「誰から教わるか」は無視できない問題ですよね。
たくさんのデータで沢山学習すべき
AIの性能は、学習データをたくさん用意すればするほど上がると言われています。そして、一度ではなく何度も学習させるわけです。人間だけでなく、機械にとっても学習の量は重要なんですね。質か量どっち?みたいな議論はありますが、どっちも大事なんじゃ!
ところで、 例えばChatGPTは共通テストで平均点を上回る結果を叩き出したと言われていますが、人間が20年弱で読める量をはるかに上回る量のテキストデータで学習しています。人間のように「限られたデータ量で効果的に学習できないか」を研究する「Few-shot Learning」という分野も存在します。
効果のない学習をいくら続けても身につかない
AI研究者たちがAIに何かを学習させるとき、学習の効果がでているかどうかをグラフで確認し、うまく進んでいないようであれば学習のやり方を修正するという作業を行っています。
人間の場合も、小テストの点数などで成果をモニタリングしながら、 こまめにやり方を変えていくのがいいのかもしれませんね。
丸暗記だけでは他の問題が解けない
人間の学習の場合、問題の答えを一字一句覚えるだけの勉強では、応用的な問題は解けませんよね。実は、AIの学習でも同じことが起こります。学習したデータ量が少ない場合や、学習データを「過学習」してしまった場合、未知のデータに対しての正答率が低くなってしまいます。「過学習」というのは、「選択問題は③が正解になりがちだな」みたいに、練習問題特有の癖に惑わされてしまうような状況をイメージすればわかりやすいかもしれません。
人間もAIも、多様なケースに触れておかないと、初めて見た問題に対処できないわけですね。
己と戦うことで強くなれる
人類に初めて勝ったと話題になった囲碁AI「Alpha Go」も、自分同士で対戦を積み重ね、そのデータから学習することで、より「強く」なることを実現しています。
己との戦い、大事!
学んだことは他のタスクに生かせる
AIの学習手法には、学習済みのAIに改造して他のタスクにも応用できるようにする「転移学習」があります。ネコの顔を識別するAIを改良し、ライオンの顔も識別できるようにするイメージです。
人間の場合も、学んだことが思いがけず他のことに生かされる場面が多くあることでしょう。
試行錯誤が大事
AIに学習をさせる際、「どれくらいのデータ量にしようかな」「どれくらいのペースで学習させようかな」などなど、調整すべき要素が多くあります。学習がうまくいかなかったとき、AI研究者はいろいろな箇所を変え、試行錯誤を行っています。
また、AI研究には「強化学習」という分野があり、わかりやすい例では、AIがゲームを試行錯誤しながらプレイすることで腕前が上がっていきます。
人間もAIも、トライアル&エラーは重要です!
学習には時間がかかる
AIだからといって、一瞬で学習が完了するわけではありません。たくさんの計算リソースを駆使し、何日間もかけて学習が行われる場合が多いです。
人間の場合も、時間をかけてじっくりと学習しなくてはなりません。
人間もAIも忘れる/間違える
AIに新たなことを追加で学習する際、やり方を工夫しないと一度学習したことを忘れてしまいます(これを破滅的忘却といったりします)。
また、ChatGPTのような大規模言語モデルを使ったことのある方々は、「AIも時々間違う」ことを理解されているかと思います(これはハルシネーション)。
どこか人間と似ている感じはしますよね。
脳の構造/思考回路が重要
AI研究の歴史では、ネットワークの構造に工夫を加えることで性能が大幅に向上することが度々起こってきました。「畳み込み層」の導入で画像認識能力が上がった、という話が典型例ですかね。
これを人間に例えると、「脳の構造」を組み替えるイメージかな。
勉強法のヒントにならないって?それじゃあ思考回路が大事!という表現にしておきましょう。全く違った視点から物事を捉え直すことで、物事を解決できることもありますよね。
まとめ
人間とAI、意外と似ている点が多くね?と思ったので記事にしてみました。
AIも魔法ではなく、人間と同様に何かしらの手がかりをもとに思考しているわけですから、当然と言えば当然ですけどもね。
人間の勉強方法のヒントになりそうな項目も多かったんじゃないでしょうか。
AIに詳しくない方も、AIについてちょっと学んでみると、最近のAI関連ニュースへの解像度が上がって面白いですよ。「機械学習」と検索してみてください。それでは!
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